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2006年03月06日

片山広明『Quatre キャトル』

普段このサイトではオンド・マルトノ関連以外のCD紹介は滅多にしませんが、今回は特別にジャズのCD紹介を書いてみます。

060302quatre.jpg片山広明『Quatre キャトル』
(スタジオ・ウィー SW207、2002年)
片山広明 tenor saxophone
板橋文夫 piano
井野信義 bass
芳垣安洋 drums, percussion

  1. for you
  2. パリの空の下
  3. march
  4. quatre
  5. ハレルヤ
  6. 首の差で
  7. improvisation
  8. ナイロビの星(石川晶氏に捧ぐ)

21世紀に発売されたジャズCDとしては今のところワタクシが最もよく聴いたアルバムです。発売されてからもうずいぶん経ちますが、いまだに度々聴いているほどの、ワタクシにとっては大名盤です。
片山氏自身によるアルバム紹介では「for you」について、板橋氏に「コレ入れれば売れるよ」と言われたと書かれており、決して「売れ」てはいないと思いますが(^^;、まんまとワタクシは、この曲が入っていることが最大の購入理由だったのでした。板橋ファンにはおなじみの「for you」は、ここ数年の板橋作ではダントツの名曲バラードなわけで、この片山氏のアルバムが初録音でした(後に林栄一氏と板橋氏とのデュオでも録音があり)。
その「for you」が1曲目。え?いきなり1曲目?ですよ。
しかもこれがものすごい名演。板橋氏と片山氏の「for you」の演奏は実際に生で聴いたこともあるのでいつもながらにパワフルで素晴らしいのですが、期待以上だったのが井野氏のベース。井野氏はワタクシの敬愛するギタリストの高柳昌行の弟子であり、同時に晩年の盟友でもあったわけですが、そんな説明なしにも既に日本の代表的なジャズ・ベーシストです。そんなキャリアを感じさせるように、途中ものすごくフリーな演奏になるのですが、決してアンサンブルを壊すようなフリーではなく、狂おしいくらいに美しいベースなのです。
この曲だけでもうおなかいっぱい。1曲目がクライマックス、後の曲はエピローグです(笑)。
いや、他の曲もこのメンバーですから非常にレベルが高く素晴らしいのですが、あまりにも「for you」がずば抜けているので、そう感じさせてしまいます。
しかし、「for you」という曲は、同じメロを何度も繰り返しているだけなのに、繰り返しの中でもこんなにも表情を変えてしまうという、ジャズの素晴らしさを実感させる曲だと思います。

「パリの空の下」なんてシャンソンの名曲も演奏されていますが、オサレな演奏を期待してはいけません。これは酔っぱらい片山のアルバムです。例えるならば、場末の小汚く薄暗いキャバレーです。プッチーケイイチさん風に言うならば、こんなの聴いても決して「女の子にはもてません」。
しかし是非聴いてください。一人でも酔いしれます。きっと後悔はしません。

-->片山広明_趣味の排便(片山広明公式サイト)

4/2のピットイン予約したよー。

投稿者 Utayume : 2006年03月06日 14:28| Jazz

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