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2005年02月22日

『ET CETERA』 (1976,Canada)

白状いたします。恥ずかしながら、プログレファンとオンド・マルトノ エヴァンジェリスト(笑)を自称していながら、このバンドについては知りませんでした。(プログレファン当時は、北米プログレは避けていたこともあり)
francofrehleyさんのProgressive Cafeのエントリーで、オンド・マルトノを使ったこのバンドのことを知り、速攻でAmazonで購入しました。

Et Cetera
Et Cetera


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『アメリカン・ロック集成』にも「カナダのジェントル・ジャイアント」として、「個人的にカナダのベスト・アルバムとして推すものである」との記載がありました。

昨日到着したので早速聴いてみると、なるほどジェントル・ジャイアント(笑)。しかし、女性ボーカル(どことなくアニー・ハスラムっぽくもある)の上にフランス語(ケベックのバンドなので)で歌われるので、ジェントル・ジャイアントほど無機質にならずに、複雑ではあるのですが比較的耳に馴染むサウンドです。

肝心のオンド・マルトノについては、3曲目の「ENTRE CHIEN ET LOUP」ではボーカルと絡むリボン奏法のポルタメント、4曲目の「APOSTROPHE」ではイントロから鍵盤奏法とリボン奏法を使い分けて印象的なフレーズを作り上げています。また、6曲目の「L'AGE DORT」では随所に様々な技法で多彩な音色を聴くことができます。
しかし何と言っても印象深いのが最後の「TANDEM」。終わり近くで転調し、霧の中から現れるようにオンド・マルトノの美しいソロを聴くことができます(時間は短いですが)。

オンディスト(オンド・マルトノ奏者)はMarie Bernard Pagéとの記載があり、女性の名前のようで、ジャケ写には女性は1人しか写っていないのでボーカルの女性が弾いていると思われます。
しかしこの方、オンディストとしてはかなりのモノホンです。キーボーディストがネタ的にオンド・マルトノを使ったというような音ではありません。最近ではレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドがオンド・マルトノを使っていますが、彼のオンド・マルトノは楽器はオンド・マルトノを使っているものの、音は全くオンド・マルトノではない(それもひとつの表現ですが)のに対し、この方は非常にオンド・マルトノの特性を理解し演奏されています。おそらく音楽大学等で正式にオンド・マルトノの教育を受けている(70年代とするとフランスの音大か?)と思われます。

この『ET CETERA』はプログレという狭い世界とは言え、ロックの中で使われたオンド・マルトノとしては、理想に近い形かもしれません。

とか言っても、おそらく世界中のオンディストの中で一番のプログレオタクはハラダさんです(笑)。なんたって、暗譜で「タルカス」弾いちゃうぐらい(ロック時代ではなく今でも)ですから。
ハラダさんも10年近く前はジョン・ゾーン・コブラとかアルタード・ステイツと競演したりしたのですが、最近ではロック系とライブをやることがなくてちょっと寂しいです。


本エントリーはProgressive Cafe国民保険カンタベリー出張所へトラックバックいたします。

投稿者 Utayume : 2005年02月22日 01:39| 01 Ondes Martenot /02 Music

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コメント

TBありがとうございました
私も久々に聴きたくて注文したのですがまだ届きません
以前はオンドマルトノを意識しないで聴いていたので
このエントリーを読んだらますます聴きたくなりました
早く来ないかなぁ

投稿者 francofrehley : 2005年02月22日 09:27

francofrehleyさん、コメント恐れ入ります。
『ET CETERA』を紹介してくださり、感謝しています。よい音楽との素晴らしい出会いになりました。
プログレにもまだまだ未知で素敵な音楽があることを実感します。
今後もProgressive Cafeを参考にさせていただきます。

投稿者 うた夢 : 2005年02月22日 12:24

始めまして。thmonkと申します。
オンド・マルトゥーノに関する、補足、私の誤りのご指摘有難うございます。またTB有難うございました。
早速、拙blogにうた夢さんのコメントともにTnademの改訂版を出させていただきました。
Keyboard奏者のMarie Bernard Pageですが、Quebeckでは結構有名なオンド・マルトゥーノ奏者のようで、blogの記事を書くときに検索したら、concert情報で結構hitしました。

うた夢さんの記事を見ていたらオンド・マルトゥーノが聴きたくなりました。
お勧めのハラダタカシさんのHPを覗いてみます。
今後ともよろしくお願いいたします。

PS もしよろしければこれを機会にLinkを張らせていただけますか?

投稿者 thmonk : 2005年02月23日 13:57

thmonkさん、コメントありがとうございます。
いきなりイチャモンも付けてしまってお気に障っていたらと気になっていましたが、コメントまでいただいて却ってすみません。

Marie Bernard PageaさんはおそらくENSEMBLE D'ONDES DE MONTRÉALのMarie Bernardと同一人物ですね。CDを持っていました。
だとすると、フランスのコンセルヴァトワールのオンド・マルトノ科でジャンヌ・ロリオに師事していたと思われます。

以下がそのCD。海外通販ならまだ買えるところもあると思います。内容的には現代音楽色が強いので聞きやすくはありませんが。
http://homepage1.nifty.com/utayume/ondes/_album_data/sne574.html

リンクについては大歓迎です。thmonkさんの博識さにはいつも脱帽で、サイトの方も情報充実で大変参考になりますので、こちらからもリンクさせていただきます。

投稿者 うた夢 : 2005年02月23日 18:14

ようやく届きました!
めちゃくちゃ良いですね、ビックリです
今までちゃんと聴いてこなかったのが悔やまれるくらい素晴らしい作品でした
オンドマルトノもうた夢さんの解説のおかげでとても分りやすく楽しめました
ありがとうございました

ちなみにリボン奏法とはどのような奏法なのですか?
もし説明できるような内容でしたら、是非教えてください

投稿者 francofrehley : 2005年03月15日 18:25

francofrehleyさん>
いいですよね〜。
今まで知らなかったのを後悔しています。
この元のエントリーでも書いていますが、プログレということが幸いして、自然な形でオンド・マルトノがロックに溶け込んでいる希有な例だと思います。
既にかなりの愛聴盤です。

鍵盤を弾くのが鍵盤奏法、鍵盤の前にあるワイヤー(リボン)のリングに指をはめて滑らせるのがリボン奏法です。速い曲の場合はリングをはめたまま鍵盤を弾きますが、本来は鍵盤を弾くときは、リングを外して弾きます。
ちなみに、鍵盤でも音が出るようになったのは最初の楽器が発明されてからだいぶ後のことで、発明当初のオンド・マルトノにはリボンの位置を表すためだけの音の出ないダミーの鍵盤が付いていました。

投稿者 うた夢 : 2005年03月16日 01:42

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