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2005年07月24日
Takashi Harada 原田節『ONDES MARTENOT オンド・マルトノ』
Takashi HARADA 原田節
『ONDES MARTENOT オンド・マルトノ』
(Sonic Culture Design SCD-2436・37)
※CD帯のみに「原田節のキッドスコープ」というサブタイトルとも取れるものが書いてあります
2005年録音・発売
購入価格:コンサート会場において2,100円(2枚組)
(現在のところコンサート会場のみで販売のようです)
DISC 1 composed by 原田節 Takashi HARADA
- orange et violet オランジュ・エ・ヴィオレ (O.M. solo)
- poison d'or 金の毒 (O.M., Piano)
- luna réminiscence ルナ レミニサンス (O.M., String Quartet)
- Brin Blanc ブラン・ブラン (O.M., Piano)
- 透明な陶酔 (O.M., Piano)
- prémonition プレモニシオン (O.M., String Quartet, Piano, Harp, Rain Stick)
DISC 2 composed by オリヴィエ・メシアン Olivier MESSIAEN
- FÊTE DES BELLS EAUX pour six Ondes Martenot
6台のオンド・マルトノのための「美しい水の祭典」
- Premières fusées 「はじめてのロケット花火」
- L'eau「水」
- Les fusées「ロケット花火」
- L'eau「水」
- Les fusées「ロケット花火」
- L'eau (à son maximum de hauteur)「水」(その高さが最高の時に)
- Superposition de l'eau et des fusées「水とロケット花火の競演」
- Feu d'artifice find「最後の花火」
- FUEILLETS INÉDITS quatre pièces pour onde Martenot et piano
オンド・マルトノとピアノのための4つ作品「未刊の音楽帖」
- I 第1曲
- II 第2曲
- III 第3曲
- IV 第4曲
2枚組で2,100円という安さです。自主制作盤ですがレーベルのSonic Culture Designというのは国立音楽大学内にあるようです。
CDの1枚目は原田さんの自作曲を収録しており、ほとんどの曲は最近の原田さんのコンサートで頻繁に演奏される曲です。
一見(一聴)ではわかりにくいかもしれませんが、よく聴いてみると、(原田さんが意図しているかどうかはわかりませんが)ドビュッシーらの印象派、サティらのサロン音楽、武満等の日本の現代音楽、ガーシュウィンらの現代のポピュラー音楽にもつながる音楽、等々様々な要素を感じさせる音楽です。
中でも最も印象深い「prémonition」(フランス語で“予感”という意味)は雅楽のような、中央アジアで聴かれる曲のような、いずれにしろロングトーンを多用した“アジア”を感じさせる曲です。オンド・マルトノはフランスの楽器であることから、発明以来現在においてもフランス的な響きを大切にしてきましたが、この曲により、オンド・マルトノがひとつの国や地域にとどまらず、グローバルに、次なる地平へ進んだことを宣言されたように感じました。原田さんだからできた、原田さんにしかできない画期的な名曲です。
CD2枚目はオリヴィエ・メシアンの2曲を収録。
『美しい水の祭典』(『美しき水の祭典』と訳されることもあり)は、アカデミックにオンド・マルトノに対して興味を持っている人ならタイトルぐらいは耳にしたことがあるであろう、1937年のパリ万博のために書かれた6台のオンド・マルトノによる、演奏時間30分以上にも及ぶ大曲です。この曲は今までにジャンヌ・ロリオ六重奏団により3回(4回かも)の録音があり(1984年のジャンヌ・ロリオ六重奏団来日公演で日本初演)、一番最近でも1996年の録音がありますが、既にどの録音も入手困難で、聴いてみたくてもそう簡単に聴けるものではありませんでした。
また、この曲の譜面は去年になってやっと出版され、原田さんの録音が譜面出版後初めての録音ということになります。
ここで聴かれる演奏は、6台のオンド・マルトノと言っても6人の奏者が演奏しているわけではなく、原田さん一人による多重録音です。6人の原田さんが弾く訳ですから、それはもうすごいです。信じられないくらいの厚みと拡がりを感じます。
ワタクシはこの曲の他の3つの録音は全て所有しており、個人的にはジャンヌ・ロリオがエラートに録音したもの(*)を好んで聴いていましたが、この原田さんの録音は本作品の決定的録音であると断言できます。。。まぁ、実際には生演奏不可能なので反則ではありますが。(^^;
2曲目の「未刊の音楽帖」は全曲録音はジャンヌ・ロリオに次いで今回が2回目で、こちらも譜面出版後は初めての録音となります。トマ・ブロシュのナクソス盤にも第4曲のみ収録されていますが、聴き比べてみるとその違いは歴然で、まさにその違いが他の電子楽器とは違うオンド・マルトノの大きな魅力であると思います。もちろんワタクシはブロシュよりもロリオよりも断然原田さんの演奏の方が好きです。
とにかく全オンド・マルトノファン(って世界に何人?)必聴のCDです。
*ジャンヌ・ロリオがエラートに録音したもの
この録音は他の録音とは決定的に違う点があります。それは終わり近く、譜面で29の♪ミーレードシドレミーというところが猛烈に速いのです。ワタクシはこのゴムみたいに跳ねる高速な演奏が好きなのですが、譜面を見ると「♪=152」となっているので、ジャンヌ・ロリオが譜面と違う演奏をしたか、その後にメシアンによって書き換えられたかだと思います。
※このエントリー、書き始めたのは七夕のHakuju Hallのすぐ後なのですが、大した内容でもないのに2週間もかかってしまいました。やっとアップできてすっきり。
投稿者 Utayume : 2005年07月24日 02:18| 01 Ondes Martenot
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コメント
>トマ・ブロシュのナクソス盤
あれは出品作曲家が弾いたピアノ・パートが最悪だからなぁ。
一般には「ブロック」のようです。
>その後にメシアンによって書き換えられたか
死んどるんとちゃうん?
投稿者 お大師 : 2005年07月24日 09:17
コメントありがとうございます。
>その後にメシアンによって書き換えられたか
エラートの録音は80年代初めと思われますから、92年のメシアンの死去までは時間があり、可能性としては全くのゼロではないと考えています。
投稿者 うた夢 : 2005年07月24日 18:00