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2005年09月26日

現在某会会報制作に入っており、今週はブログにエントリーしている時間があまりないかもしれません。(といいつつ職場からエントリーしていますが)

会報は10月半ば発行予定で、ちらっとリークしてみると、ジャン・ローランドーさんインタビュー、メシアンフェスティバルリポート、原田節さんエッセイ、大井浩明さんエッセイ、久保智美さんのOndeaリポートと、信じられないくらい充実した内容でお送りする予定です。1年以上お待たせしてしまいましたが、期待を裏切らない出来だと思います。
いましばらくお待ちください。

投稿者 Utayume : 19:32 | コメント (2) | トラックバック (0) | 01 Ondes Martenot

2005年09月07日

『Messiaen Edition』というボックスセットが発売されたらしいです。
--->@TOWER JP
--->HMV Japan
--->Amazon.co.jp

曲目を見てみると、数年前に日本のみで再発された『メシアンの芸術』にナガノ指揮『トゥランガリラ交響曲』を追加収録したもののようです。
ワーナーには2000年にナガノによって録音されるまでカタログに『トゥランガリラ交響曲』がなく、『メシアンの芸術』と言いながら、『トゥランガリラ交響曲』が入っていないという、どうしても中途半端な印象になってしまっていましたが、この追加収録で、「とりあえずはこれさえ持っていればほぼカバーできる」レベルになったと思います。ボックス中、ナガノ盤だけレーベルがテルデックで他はエラートっていうのはやむを得ないとは言え妙です。

しかし、またしてもジャンヌ・ロリオ オンド・マルトノ六重奏団の『美しき水の祭典』は収録されず(未CD化)。ナガノの『トゥランガリラ交響曲』を追加収録するよりも『美しき水の祭典』を入れた方がよっぽどボックスとしての意義と統一感があるんですけどねぇ。

ま、国内盤の『メシアンの芸術』は再発でも2万円以上したので、持っていなければ輸入盤で半額以下なので、購入しておくのもよいかも。

投稿者 Utayume : 19:06 | トラックバック (0) | 01 Ondes Martenot /Classic

2005年09月06日

ここのところオンド・マルトノエントリーがなかったので書いてみます。
決して今までネタがなかった訳ではなく、オンド・マルトノに関することを書くには正確さが必要で、書くのに時間がかかってしまうので気軽に書けないのです。
今回はちょっと気軽なオンド・マルトノエントリー。

オンド・マルトノ友の会会報誌『リボン』第03号に掲載された“誌上講義”のために撮影した写真の中から、誌面には掲載しなかった写真をアップしてみます。

050906_01.jpg
「原田節氏にレッスンを受けるうた夢」
リボン奏法での説明を受けています。右手の人差し指には鍵盤の前に張られた線に繋がった指輪をはめており、それを左右に動かすことで音程を出します。
右手は手首を支点に円弧を描くように動かします。というような説明風景。
右手も左手も手首の動きがポイントです。
この写真を見ると、左手が脱力できていませんね。(笑)
関係ありませんがここでワタクシが着ているTシャツはELPの1stジャケTシャツです。

050906_02.jpg
「鍵盤が外れたオンド・マルトノ」
レアな写真です(笑)。普通は滅多に見ることはない、鍵盤を外して内部が見えるようにした様子。内部は意外にスカスカ。
このオンド・マルトノは上の写真でワタクシが弾いている楽器とは違い、原田さんがコンサートで使われるメインの楽器で、他の人は恐れ多くて触ることもできません。

もっとディープな、この写真の本編を読みたい方は、オンド・マルトノ友の会へご入会ください(笑)。『リボン』第2号、第3号ではレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドと原田さんの対談を掲載しています。

(写真協力:原田節さん、木村佐斗子さん)

投稿者 Utayume : 19:20 | トラックバック (0) | 01 Ondes Martenot

2005年08月14日

ひぇ~。びっくりしましたよ~。
本日のN響アワー、

夏の特集 (2) 「ふたつの檜(ひのき)舞台」
  ~日比谷公会堂と東京文化会館~

というタイトルで東京文化会館を紹介しているときに、池辺氏が、ここで小澤指揮のメシアン『トゥランガリラ交響曲』の日本初演を聴いて衝撃を受けた、と話し、「これは現代の演奏ですが」と、1985年のN響の『トゥランガリラ交響曲』(第10楽章のみ)が放映されました。

1985年3月27日NHKホールにおける、高橋アキ ピアノ、原田節 オンド・マルトノの映像です。全然現代じゃないじゃん、とテレビにツッコミを入れつつ、初めて観る映像に釘付けでした。

原田さんの『トゥランガリラ交響曲』でのデビューは1985年1月の東京文化会館に於ける東京交響楽団で、放送はそのデビュー2ヶ月後の演奏です。この頃の原田さんの意気込みについてはオンド・マルトノ友の会会報No.6において原田さん自らが語られており、それを知っていると、この映像は平常心では観られません。

20050814harada_nhk.jpg
20050814harada_nhk2.jpg
20050814harada_nhk3.jpg

映像を見ると、パルムが見あたりません。何故?
なんだかロックっぽい演奏です、しかも原田さん若いです。(笑)


しかし、いいものを観させていただきました。池辺氏に感謝。出来れば全曲の放送を希望。
ちょっと興奮気味にエントリーしてみました。(笑)

(追記)
初アップ時、放送された会場を「1985年3月27日東京文化会館」としていましたが、正しくは「1985年3月27日NHKホール」です。

投稿者 Utayume : 22:14 | コメント (2) | トラックバック (0) | 01 Ondes Martenot

2005年07月25日

最近知ったAmazonみたいなネットショップ“Barnes & Noble.com”を見ていたら、気になる記述がありました。

なんと、ファラオ・サンダースのインパルス時代のアルバム『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun)』にオンド・マルトノが使われているように記載されているのです。しかも演奏しているのはロニー・リストン・スミス!
http://music.barnesandnoble.com/search/product.asp?EAN=11105026529&ITM=18

050725sanders.jpg

いやはやびっくり。
でもワタクシ、このCDを持っていまして、今までにオンド・マルトノの音を聴いた覚えは全くないのです。ライナーを確認してみても、「Ondes Martenot」という記述はありません。改めてちゃんと聴いてみてもオンド・マルトノの音はワタクシには確認できませんでした。

おそらく記述間違いかなーと。

このアルバムは三管&パーカッション多数で音数が多いので、もし本当に使われていたとしても、ソロでもない限り判別は難しいと思われます。

もし記述間違いだとして、どこでそのような情報が記載されていたのか、その情報元が知りたいです。
インパルスのサンダースというメジャー(少なくともワタクシにはメジャーです)なジャズアルバムでオンド・マルトノが使われていたら、それはそれで面白いんですけどね。

投稿者 Utayume : 19:33 | トラックバック (0) | 01 Ondes Martenot

2005年07月24日

以前のエントリーの第二弾として最近入手したCDを。


B00000JO2QOpen Fire
Ronnie Montrose

by G-Tools

モントローズというと、後にヴァン・ヘイレンに加入するサミー・ヘイガーがいたバンドというちょっとかわいそうな紹介をされがちなバンドですが、ロック史からは初期のアメリカン・ハード・ロックとして重要かもしれません。ワタクシは70年代以降のアメリカン・ロックは基本的に苦手だったりしますが(笑)。で、このアルバムはモントローズ解散後の78年にロニー・モントローズが出したファースト・ソロ・アルバムで、エドガー・ウィンターがプロデュースしています。
アルバム全体的にはアメリカン・ロックらしからぬ非常に知的な(アメリカン・ロックが知的ではないと言う意味ではありません)サウンドで、むしろブリティッシュでありがちな、多少実験的なアルバムです。

アルバムのライナーを見てみると、5曲目「LEO RISING」(3:46)に「Jim Alcivar: martenot」との記述があります。「ondes martenot」とは書いていませんが、まずオンド・マルトノでしょう。Jim Alcivarはモントローズ時代からのキーボーディストです。
その曲を聴いてみると、アコギが主体で2分10秒ぐらいのところから40秒ほど鍵盤奏法によるソロっぽい演奏が入ります。それだけ。思わす「それだけかよ!」と叫んでしまいました(笑)。確かにオンド・マルトノの鍵盤っぽい音ではありますが、ポルタメントを使っているわけでもないし、ビブラートがかかっているわけでもない、プリンシパルの音(というかPA直結ですね、多分)だけなので、別にオンド・マルトノじゃなくてもいいじゃんってぐらいです。
蛇足ながら、2曲目のタイトル曲である「OPEN FIRE」にはテルミンも使われていますし、その他の曲ではmoogも使われています。と言ってもそれほど電子音楽っぽい印象がないのはさすがです。


B000006SIBThe Whole World's Goin' Crazy
April Wine

by G-Tools

カナダでは有名なハード・ロック・バンド(現在も活動中のようです→リンク)の76年のアルバムです。
そのアルバムの3曲目「Wings Of Love」にオンド・マルトノが使われています。これが素晴らしい! 曲の背後にずっとオンド・マルトノが舞っています。アルバム中この曲だけ異色で、他は大味なハード・ロックなのですが、これだけプログレっぽさを感じます。ライナーの記述を見て納得。オンド・マルトノを弾いているのはMarie Bernard、そう以前エントリーしたET CETERAのオンディストなのでした。この方が入るだけで雰囲気ががらりと変わりET CETERAに近いサウンドになっています。この方ジャン・ローランドー率いるオンド・マルトノ五重奏団であるENSEMBLE D'ONDES DE MONRÉALの一員でもある、生粋の(?)オンディストです。
ワタクシにとっては、アルバムの他の曲は面白くありませんでしたが、この曲だけはオススメできます。

投稿者 Utayume : 05:09 | トラックバック (0) | 01 Ondes Martenot

scd2436-37.jpgTakashi HARADA 原田節
『ONDES MARTENOT オンド・マルトノ』
(Sonic Culture Design SCD-2436・37)

※CD帯のみに「原田節のキッドスコープ」というサブタイトルとも取れるものが書いてあります

2005年録音・発売
購入価格:コンサート会場において2,100円(2枚組)
(現在のところコンサート会場のみで販売のようです)

DISC 1  composed by 原田節 Takashi HARADA

  1. orange et violet オランジュ・エ・ヴィオレ (O.M. solo)
  2. poison d'or 金の毒 (O.M., Piano)
  3. luna réminiscence ルナ レミニサンス (O.M., String Quartet)
  4. Brin Blanc ブラン・ブラン (O.M., Piano)
  5. 透明な陶酔 (O.M., Piano)
  6. prémonition プレモニシオン (O.M., String Quartet, Piano, Harp, Rain Stick)

DISC 2  composed by オリヴィエ・メシアン Olivier MESSIAEN

  • FÊTE DES BELLS EAUX pour six Ondes Martenot
    6台のオンド・マルトノのための「美しい水の祭典」
    1. Premières fusées 「はじめてのロケット花火」
    2. L'eau「水」
    3. Les fusées「ロケット花火」
    4. L'eau「水」
    5. Les fusées「ロケット花火」
    6. L'eau (à son maximum de hauteur)「水」(その高さが最高の時に)
    7. Superposition de l'eau et des fusées「水とロケット花火の競演」
    8. Feu d'artifice find「最後の花火」

  • FUEILLETS INÉDITS quatre pièces pour onde Martenot et piano
    オンド・マルトノとピアノのための4つ作品「未刊の音楽帖」
    1. I 第1曲
    2. II 第2曲
    3. III 第3曲
    4. IV 第4曲

2枚組で2,100円という安さです。自主制作盤ですがレーベルのSonic Culture Designというのは国立音楽大学内にあるようです。

CDの1枚目は原田さんの自作曲を収録しており、ほとんどの曲は最近の原田さんのコンサートで頻繁に演奏される曲です。
一見(一聴)ではわかりにくいかもしれませんが、よく聴いてみると、(原田さんが意図しているかどうかはわかりませんが)ドビュッシーらの印象派、サティらのサロン音楽、武満等の日本の現代音楽、ガーシュウィンらの現代のポピュラー音楽にもつながる音楽、等々様々な要素を感じさせる音楽です。

中でも最も印象深い「prémonition」(フランス語で“予感”という意味)は雅楽のような、中央アジアで聴かれる曲のような、いずれにしろロングトーンを多用した“アジア”を感じさせる曲です。オンド・マルトノはフランスの楽器であることから、発明以来現在においてもフランス的な響きを大切にしてきましたが、この曲により、オンド・マルトノがひとつの国や地域にとどまらず、グローバルに、次なる地平へ進んだことを宣言されたように感じました。原田さんだからできた、原田さんにしかできない画期的な名曲です。

CD2枚目はオリヴィエ・メシアンの2曲を収録。
『美しい水の祭典』(『美しき水の祭典』と訳されることもあり)は、アカデミックにオンド・マルトノに対して興味を持っている人ならタイトルぐらいは耳にしたことがあるであろう、1937年のパリ万博のために書かれた6台のオンド・マルトノによる、演奏時間30分以上にも及ぶ大曲です。この曲は今までにジャンヌ・ロリオ六重奏団により3回(4回かも)の録音があり(1984年のジャンヌ・ロリオ六重奏団来日公演で日本初演)、一番最近でも1996年の録音がありますが、既にどの録音も入手困難で、聴いてみたくてもそう簡単に聴けるものではありませんでした。
また、この曲の譜面は去年になってやっと出版され、原田さんの録音が譜面出版後初めての録音ということになります。

ここで聴かれる演奏は、6台のオンド・マルトノと言っても6人の奏者が演奏しているわけではなく、原田さん一人による多重録音です。6人の原田さんが弾く訳ですから、それはもうすごいです。信じられないくらいの厚みと拡がりを感じます。
ワタクシはこの曲の他の3つの録音は全て所有しており、個人的にはジャンヌ・ロリオがエラートに録音したもの(*)を好んで聴いていましたが、この原田さんの録音は本作品の決定的録音であると断言できます。。。まぁ、実際には生演奏不可能なので反則ではありますが。(^^;

2曲目の「未刊の音楽帖」は全曲録音はジャンヌ・ロリオに次いで今回が2回目で、こちらも譜面出版後は初めての録音となります。トマ・ブロシュのナクソス盤にも第4曲のみ収録されていますが、聴き比べてみるとその違いは歴然で、まさにその違いが他の電子楽器とは違うオンド・マルトノの大きな魅力であると思います。もちろんワタクシはブロシュよりもロリオよりも断然原田さんの演奏の方が好きです。

とにかく全オンド・マルトノファン(って世界に何人?)必聴のCDです。

*ジャンヌ・ロリオがエラートに録音したもの
この録音は他の録音とは決定的に違う点があります。それは終わり近く、譜面で29の♪ミーレードシドレミーというところが猛烈に速いのです。ワタクシはこのゴムみたいに跳ねる高速な演奏が好きなのですが、譜面を見ると「♪=152」となっているので、ジャンヌ・ロリオが譜面と違う演奏をしたか、その後にメシアンによって書き換えられたかだと思います。


※このエントリー、書き始めたのは七夕のHakuju Hallのすぐ後なのですが、大した内容でもないのに2週間もかかってしまいました。やっとアップできてすっきり。

投稿者 Utayume : 02:18 | コメント (2) | トラックバック (0) | 01 Ondes Martenot

2005年07月08日

2004/2005 リクライニング・コンサート・シリーズ
"Heal - Health - Whole"
第20回:オンド・マルトノの日
電波楽器なのにアコースティック!

日時:2005年7月7日(木) 19:30開演
場所:Hakuju Hall
出演:原田節(オンド・マルトノ)、尾尻雅弘(ギター)

曲目

  1. ロジャース&ハマースタイン:私のお気に入り
    Rodgers&Hammerstein: My Favourite Things
  2. ドーハム:ブルー・ボッサ
    Kenny Dorham: Blue Bossa
  3. ジョビン:ウェイヴ
    Antonio Carlos Jobin: Wave
  4. J.S.バッハ:ソナタ第4番ハ長調
    Johan Sebastian Bach: Sonata No.4 BWV1033
  5. 原田節:私たちはみな太陽からやって来た賢人を知っています
    Takashi Harada: We All Know the Sage from the Sun
  6. 池辺晋一郎:熱伝導率
    Shinichiro Ikebe: Termal Conductivity
  7. 原田節:九月の旅
    Takashi Harada: vayage en septembre 1.Prélude 2.Fugue 3.Now That You're Whole 4.Échos

以上が本編。アンコールが2回あり、1回目がシャンソン2曲、2回目が「ラヴ」でした。

原田さんの演奏についてはワタクシが言うべき言葉は持ち合わせておりません。素晴らしいに決まってます。実は久しぶり(半年以上)に原田さんの演奏を聴いたのですが、やっぱり神業ですね。
右手でオンド・マルトノ、左手でピアノを弾いてキース・エマーソンばりにノリノリでした。(笑)
リクライニング・コンサートと銘打ちながら、超絶技巧な「熱伝導率」を選曲するのはいかがなものか、と思ったり(笑)。新曲の「私たちはみな太陽…」も初め優しく後にハード。いやもちろん大変に楽しめました。

Hakuju Hallは癒し系のホールらしく、後ろ半分の座席はリクライニングシートになっています。ホールの内側も鯨の体内を模しているそうで、曲線と光源が美しいホールです。が、音響がイマイチだったような気がします。意図的なものなのか、ものすごく響いていて、細部が聴き取りにくかったです。

050708harada.jpg会場で、出来たばかりの原田さんの新譜『ONDES MARTENOT』をゲット。自主制作盤ですが、オンド・マルトノ六重奏曲、メシアン『美しい水の祭典』を収録した、大げさではなく世界が待望していたCDです。(詳しくは別エントリーに書きます)
恥ずかしながら、サインを貰ってしまいました。実は原田さんのサインを貰ったのは初めてなのでした。


投稿者 Utayume : 05:25 | トラックバック (2) | 01 Ondes Martenot

2005年07月06日

いつもライブや音源の紹介ばかりなので、先日都響の『トゥランガリラ交響曲』公演もあったことですし、ここでオンド・マルトノの本質的な部分を説明したいと思います。

20010608a_s.jpgオンド・マルトノの奏法は、大雑把に言えば、右手(リボン及び鍵盤)で音程を取り、左手(トゥッシュ)で音量(強弱)を調節する-つまり、弦楽器の奏法と左右の手が逆の動作-ことは、ご存じの方も多いと思います。「鍵盤楽器」と認識されている場合も多いオンド・マルトノですが、このような奏法により、単に鍵盤を押さえれば音が出るピアノ等の鍵盤楽器では不可能な表現が可能になります。


ピアノとの比較

以下は音の強さと時間の経過をグラフで表したものです。ひとつの曲線がひとつの音(全音符等長い音で想像するとわかりやすいかと思います)と想定しています。
050704martenot_wave.gif
A-(1)はピアノの音の鳴り方です。アタック(鍵盤を叩く)があった直後に最強(最大音量)となり、その後は鍵盤を押さえたままでも緩やかに音は弱くなっていきます。この時奏者が音をコントロールできるのは最初に鍵盤を叩くときの強さと、鍵盤から指を離すタイミングだけです。打鍵(音が鳴った)後に奏者がコントロールできるのは、せいぜいソスティヌートペダルで音を伸ばしたりする程度です。
このように一つの音だけを取ってみれば、ピアノという楽器はプロが弾こうが全くの素人が弾こうがそれほど鳴る音に差異がない楽器と言えます。

対してB-(2)、(3)はオンド・マルトノでの音の出し方の一例です。オンド・マルトノは前述のように発音部と音程部が分かれているので、B-(2)のように小さな音から鳴り始め、音が消える(次の音符に移る)直前に最強としたり、B-(3)のように小さな音で延々何小節も長い音を同じ強さで鳴らすこともできます。

グラフには表していませんが、オンド・マルトノには、音の強弱に加え、音楽にとって重要な要素のひとつであるビブラートをどのように鳴らすか(大きな幅、小さな幅、♯気味、♭気味、音の鳴り始めだけかける等)という表現の余地もあります。
また、ひとつのドでも、♯気味のド、♭気味のドというような表現の余地もあります。

これらのことはどういうことかと言うと、打鍵の瞬間はもちろん、音が鳴り続けている間、音が消える瞬間まで表現の余地がある、ということなのです。逆に言えば、このようにひとつひとつの音符の音に表現が入っていなければ(音を作る作業をしなければ)、オンド・マルトノらしい表現(音楽として聴けるもの)にはならない、ということです。

ピアノは誰が弾いても出る音に差異はないと前述しましたが、それに対しオンド・マルトノは、たったひとつの音符だけでも奏者それぞれの鳴り方違うのです。例えば、実際に自分が弾いた後にハラダ タカシさんが全音符ひとつ弾くのを聴いてみると、次元の違うその豊かな響きにびっくりし、ここまで鳴り方が違うものかと納得し、自分の表現力のなさに落胆するのです(泣)。

ただ、こうした「ひとつひとつの音をどのように鳴らすか」というのは、ヴァイオリンでひとつの音を素人が弾くのとプロが弾くのと全く違う鳴り方をするように、弦楽器では当然のことなのです。オンド・マルトノが鍵盤楽器として認識されていることから違和感を感じるのだと思います。このことからも、オンド・マルトノが鍵盤楽器というよりも弦楽器に近い言われることがおわかりいただけるかと思います。

ちょっとオンド・マルトノのことを知っている人にはオンド・マルトノを弾くことは簡単と思われがちなのですが、確かに、鍵盤の位置がわかる人でしたら、音符を追うことだけならすぐにできるようになります。しかし、それだけでは、単に音符を追っているだけで音楽にはなりません。楽器としては非常にとっつきやすい楽器ではありますが、音楽として演奏するとなると非常に難しい(それだけ表現豊かな)楽器だということがわかります。


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以上のことはハラダ タカシさんの受け売りです(正確に理解しここで伝えられているかは不安ですが)。それとこれらのことをワタクシが実践できているか、というのはまた別の話です(^^;。
それまで漠然と楽器を弾いていたワタクシですが、ハラダさんにオンド・マルトノを教えて頂いて、作曲家がそこに音符を置いた意味や、一音一音をどのように聴いて表現するか、ということを考えるようになり、音楽にとってとても大切なものを得たと思っています。
そんなオンド・マルトノを生で聴いてみたければ、明日Hakuju Hallに足を運んでみてくださいな。

投稿者 Utayume : 20:37 | コメント (2) | トラックバック (1) | 01 Ondes Martenot

2005年07月02日

現在放映中のNHKの音楽番組「音楽・夢くらぶ」のテーマ音楽でオンド・マルトノが聴けます。

作曲・ピアノ:菅野よう子
オンド・マルトノ:原田節
ボーカル:おおたか静流

番組オープニングには10秒程度しか流れませんが、エンディングには比較的長く聴くことができます。CD化を切望します!
番組としてもゲスト出演者が魅力的(6/24は忌野清志郎)で楽しめます。

なお、おおたか静流さんと原田さんは競演が多く、CD化されているものでもdidoの『KSANA』やオムニバスの『ANTARCTICA - NHKテレビ放送50年南極プロジェクト』でも聴くことができます。

「音楽・夢くらぶ」
NHK 総合:毎週木曜 午後11時15分~11時44分
NHK BShi:毎週木曜 午後2時30分~2時59分

投稿者 Utayume : 23:49 | トラックバック (0) | 01 Ondes Martenot

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